ワイヤー矯正
ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歯列矯正の中で最も広く行われている治療法で、叢生(乱ぐい歯)、出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)など、幅広い歯並びのお悩みに対応することが可能です。歯の表面にブラケットと呼ばれる固定装置を接着し、そこに通した金属のワイヤーの力を利用して数ミリ単位で確実に歯を動かすことができます。矯正の治療法の中には症例が限定されるものもありますが、ワイヤー矯正は、ほとんどの不正咬合に適応可能です。ワイヤーやブラケットなどの装置が目立つという見た目の問題がありますが、最近では透明で目立たないものや歯に近い色の素材の装置が揃っていますので、ご希望に合わせて選択していただけます。
ワイヤー矯正は、歯列の矯正法として歴史が長く、治療ノウハウが広く行き渡っています。確実性が高いため治療期間が短く、治療費を抑えることができます。
ワイヤー矯正は矯正装置であるブラケットを歯に接着します。そこに歯列に沿ってワイヤーを通し、動かしたい方向に向けてワイヤーの弾性力※を歯に加えます。この状態を維持し、正しい位置まで徐々に動かして歯並びを整えます。1本1本の歯にそれぞれ力を加えることができるため、複雑な歯列・かみ合わせといった難症例にも、幅広く対応することが可能です。装置の取り付けや調整はすべて歯科医師が行います。技量が大きくかかわる矯正治療といえます。
治療の範囲は、奥歯を含むすべての歯列およびかみ合わせを整える「全顎(全体)矯正」と、前歯を中心に気になる部分を整える「部分矯正」があります。
※弾性力:力を加えられて変形をしている物体が、反作用として他におよぼす力
ワイヤー矯正は矯正装置を取り付ける場所によって、大きく3つに分類されます。歯の唇・頬側に付ける表側(ラビアル)矯正と、歯の舌側に付ける裏側(リンガル)矯正、そして上顎(上の歯)を裏側矯正、下顎(下の歯)を表側矯正で行うハーフリンガル矯正があります。いずれもワイヤーとブラケットを用いた矯正治療です。
表側矯正は、矯正装置を歯の表面(唇・頬側)に取り付ける一般的な矯正です。歯面に接着するブラケットと、様々な種類のワイヤーによって3次元的な歯の移動が可能です。ほぼ全ての症例で、非常に細かい歯のコントロールが可能なため良好な治療結果が得られます。矯正治療の長い歴史の中で技術が進歩し、治療実績も数多く存在しています。知名度も高く、信頼性のある治療法といえます。
一般的に使用する金属性のブラケットをメタルブラケットと呼び、セラミックやプラスチック製で目立ちにくいものを審美ブラケットと呼びます。見た目が気になる方や金属アレルギーが不安な方には、審美ブラケットで治療を受けていただくことが可能です。
裏側矯正は、歯の表側(唇・頬側)ではなく、裏側(舌側)に装置を付けて歯並び・かみ合わせを改善します。外からワイヤーやブラケットが見えにくく審美性に優れています。日常で周囲の視線を意識せずに矯正治療を受けることができ、表側矯正とほぼ変わらない治療効果が得られるというメリットがあります。常に装置が唾液に触れている状態なので唾液の緩衝作用によって、むし歯リスクが軽減するともいわれています。ほとんどの症例に適応できますが、歯の裏側は形状が複雑なため、患者さま一人ひとりに適した精度の高い装置を作製する必要があります。さらに、装置の装着には高度な技術と時間を要するため、一般的な表側矯正に比べて費用が割高になります。治療期間も長くなる傾向にあります。
ハーフリンガル矯正は、上顎(上の歯)を裏側矯正、下顎(下の歯)を表側矯正で行う矯正治療です。表側・裏側矯正の両方のメリットが得られる反面、両方のデメリットも考える必要があります。
歯並びの悪さは単に見た目だけの問題ではなく、生活をしていく上で様々な問題を引き起こす原因にもなります。以下のような症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎の前歯が前に傾斜していたり、突き出ていたりする状態で、一般的に「出っ歯」と呼ばれています。

空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間にすき間が空いている歯並びのことで、一般的に「すきっ歯」と呼ばれています。

下顎前突(かがくぜんとつ)
下顎が上顎よりも前に突き出ている状態で、横顔がしゃくれたように見えます。かみ合わせが反対になるので「反対咬合」、あるいは「受け口」とも呼ばれています。

上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)
上下の歯が前につき出ている状態で、顎の骨に問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合とがあります。うまく噛むことができず、見た目も良くありません。唇を自然に閉じていられない場合もあります。

叢生(そうせい)
歯並びがでこぼこで、上下の歯がともに前に突き出た状態です。顎が小さいと歯が生える十分なスペースがないため、歯と歯が重なり合って、叢生が生じると考えられています。

開咬(かいこう)
口を閉じてもすき間ができ、上下の歯がきちんとかみ合わない状態です。前歯で食べ物をうまく噛み切ることができないだけでなく、正しく発音ができなかったり、咀嚼(そしゃく)がうまくできなかったりすることもあります。

過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に深く被ってしまっている状態です。このため顔が短く見えることがあります。上下の歯が過剰に接触し、歯を傷つけてしまうこともあります。

交叉咬合(こうさこうごう)
部分的に上下の歯の嚙み合わせが反対になっている状態です。
ワイヤー矯正の治療期間は、歯並びの状態や治療内容によって異なりますが、一般的には動的治療に1~3年、治療後の保定に1~2年程度かかります。
矯正治療の前には、まず精密検査を行い、骨格や歯の状態、かみ合わせなどを確認します。それから歯に矯正装置を装着して実際の治療を開始します。その後、治療計画通りに歯が移動したかを確認し、最後の段階で、歯の後戻りを防ぐために「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着し定期的に通院していただきます。
このように矯正治療はいくつかの段階かに分けて行うため、長い期間が必要になります。
矯正相談
矯正検査
検査結果と治療方針の説明
矯正治療の開始
矯正治療終了 保定
TOP